🔧 ロータリーエンジン、作図の書
STAGE 3 ― ゆっくり回るローター ―
クリア 0 / 7
⚛ 量子の冒険の書
STAGE 3

ゆっくり回るローター

歯車 2:3 と α/3 の法則
🎯 ミッション
ローターの回り方を決める歯車の仕組みを理解しよう。固定歯車とローター歯車の半径が 2e と 3e になる理由、軸が α 回るとローターは α/3 しか回らない理由を説明でき、3つの頂点の座標を α だけで書ければ合格。
未達成
ねこ博士
STAGE2で、ローターは軸と違う速さで回らないといけないと分かった。では、その速さを何が決めているのか。答えは歯車だ。ローターの中央の穴の内側には、歯が内向きに並んだ内歯車(うちはぐるま)が付いている。そしてハウジングの横のふた(サイドハウジング)には、固定歯車が取り付けられている。固定歯車は出力軸の中心 O を中心にして、まったく回らない。ローターの内歯車は、この固定歯車を内側に抱え込むように噛み合って、そのまわりを転がるんだ。
うさ美
ローターの中心 C は O から e だけずれているから、ローターの歯車は O を中心にしていないんですね。中心がずれた2つの歯車が噛み合っている、ということですか?
ねこ博士
そう。内歯車と、その内側の小さな外歯車が、片側だけで噛み合っている。そして歯数はこう決まっている。固定歯車の歯数:ローター歯車の歯数=2:3。たとえば固定歯車が 20 枚なら、ローター歯車は 30 枚だ。まず、この2つの歯車の大きさを考えてみよう。噛み合う歯車は、歯1枚ぶんの幅(ピッチという)が同じでないと噛み合わない。
うさ美
歯の幅が同じなら、歯数の比がそのまま円周の比になります。円周は半径に比例するので、半径の比も 2:3 です。固定歯車の半径を 2x、ローター歯車の半径を 3x とおいてみます。内側の歯車が外側の歯車の内側で噛み合うとき、噛み合っている場所では2つの円が内側で接しているから、中心どうしの距離は半径の差で 3x−2x=x。この距離は O と C の距離、つまり偏心量 e です。だから x=e。固定歯車の半径は 2e、ローター歯車の半径は 3e、ということですか?
ねこ博士
その通り。13B なら 30 mm と 45 mm だ。偏心量 e を決めると、歯車の大きさまで自動的に決まる。さて本題、ローターの回転の速さだ。少し頭を使う場面だから、ゆっくり行こう。出力軸と一緒に回る「腕」を想像してほしい。O から C へ伸びる長さ e の腕だ。ローターの中心はこの腕の先に乗っている。
ねこ博士
メリーゴーラウンドに乗ると、まわりの景色が逆向きに回って見えるね。それと同じで、腕に乗った人から見ると、動かないはずの固定歯車が、逆向きに回って見える。軸が1周(α=360°)すると、腕の上の人には固定歯車が逆向きに1周して見える。
うさ美
固定歯車が1周して見えるということは、固定歯車の歯が 20 枚とも、噛み合っている場所を通り過ぎて見える、ということですね。歯車は歯と歯がかみ合っているから、片方の歯が 20 枚通れば、もう片方の歯も 20 枚通るはずです。ローター歯車は 30 枚だから、20÷30=3分の2周、つまり 240° 回って見える。向きは……噛み合っている場所では両方の歯が同じ向きに動くから、固定歯車が逆向きに見えるなら、ローターも腕から見て逆向きに 240° です。
ねこ博士
そう。ここで、腕に乗って見た回転と、地面に立って見た回転の違いを整理しよう。腕そのものは地面から見て 360° 回った。ローターは腕から見て逆向きに 240° 回った。地面から見たローターの回転は、その2つを合わせたものだ。
うさ美
360°−240°=120°。軸が1周する間に、ローターは同じ向きに 120°、つまり3分の1周しか回らない。軸の角度を α とすると、ローターの角度は α/3、ということですか?
ねこ博士
その通り。ローターの角度を θ と書くと、θ=α/3。これがロータリーエンジンの有名な性質、「出力軸が3回転する間に、ローターは1回転」の正体だよ。実物のローターがゆっくり回って見えるのは、このためなんだ。
金色が固定歯車(20枚、半径 2e=30 mm)、青がローターの内歯車(30枚、半径 3e=45 mm)。青い歯車の印(●)の向きがローターの角度 θ。α を 1080°(3回転)まで動かすと、θ はちょうど 360°(1回転)になる。「腕に乗って見る」では、腕(赤)を固定して見るので、固定歯車が逆向きに回って見える
うさ美
歯数の比が 2:3 なのは、どうしてですか。1:2 や 3:4 ではだめなんですか?
ねこ博士
この比は、ローターの頂点が3つで、ハウジングのふくらみが2つ、という形の組合せから決まっているんだ。ローターが1周する間に、3つの頂点は壁を1周ずつたどる。壁のふくらみ2つとローターの頂点3つがぴったり息を合わせるためには、軸3回転にローター1回転、つまりこの 2:3 が必要になる。その理由は、次のステージで頂点の道を実際に描いてみると納得できるよ。今日はもうひとつ、頂点の座標を完成させておこう。
うさ美
STAGE2の式では、頂点は (e cos α+R cos β, e sin α+R sin β) で、β はローターの向きでした。ローターの向きが θ=α/3 なら、1つめの頂点は β=α/3。ローターは正三角形だから、残り2つの頂点は 120° ずつずれて、β=α/3+120°、β=α/3+240° です。
ねこ博士
そう。3つの頂点を、それぞれ k=0, 1, 2 と番号を付けて書くと、こうなる。
【頂点の座標】 k=0, 1, 2 xk=e cos α+R cos(α/3+120°×k) yk=e sin α+R sin(α/3+120°×k) 右辺に入っている数は e、R、α だけ。軸の角度 α を決めれば、3つの頂点の位置がすべて決まる
うさ美
たしかに、式の中に出てくるのは e と R と α だけです。e=15、R=105 を入れて α を動かせば、頂点の道が描けるんですね。
ねこ博士
次のステージでそれをやろう。頂点の道こそが、ハウジングの繭形なんだ。
【このステージの成果】 ローターの内歯車(歯数 3n)が、ハウジングに固定された歯車(歯数 2n、中心 O、回らない)のまわりを転がる 半径の比も 2:3。内側で接するので中心の距離=半径の差=e より、固定歯車の半径 2e、ローター歯車の半径 3e 腕(長さ e、軸と一緒に回る)に乗って見ると、固定歯車は逆向きに回って見える。軸1周で固定歯車の歯 2n 枚が通過 → ローター歯車も 2n 枚 → 腕から見て逆向きに 2/3 周 地面から見たローターの回転=360°−240°=120°。よって θ=α/3(軸3回転でローター1回転) 頂点 k の座標:(e cos α+R cos(α/3+120°k), e sin α+R sin(α/3+120°k))

確認クイズ

Q1. 出力軸が3回転すると、ローターは何回転する?

Q2. 固定歯車の歯数とローター歯車の歯数の比は?

Q3. 固定歯車の半径を 2e とすると、ローターの内歯車の半径は?